制度

成年後見人制度のデメリットは?親族がなると大変!その費用はいくら必要?

成年後見人

両親が高齢による認知症になり、お金の管理が難しくなってきました。

親の家に行くと知らない契約書が机の上に、親に契約者書の内容を聞くと知らないとの返事。あわてて契約書に書いてある電話番号に電話してクーリングオフしました。

その時はクーリングオフできて大きな問題にはなりませんでしたが、両親と離れて生活しているので、私がいないときに契約を交わさないか心配になります。

そのようなときに成年後見人という制度があることを発見し調べたのですが、メリットもありますが、親族がなった場合のデメリットも多く申請を断念しました。

今回は、成年後見人制度(法定後見制度)と親族が後見人となった場合のデメリットについてお話します。

成年後見人制度と費用


法定後見制度には、『法定後見制度』『任意後見制度』がありますが、今回は『法定後見制度』についてお話します。

法定後見制度は、支援を受ける『本人(以下同じ)』の判断能力によって、後見(重度)・保佐(中度)・補助(軽度)があります。

成年後見人は、本人の代わりに財産の管理をしたり、本人がした不利益な契約を取り消すことができます。

例外として日用品の購入などの日常生活に関する行為は取り消すことはできません。また、自宅の売却などを行うには家庭裁判所の許可が必要です。

保佐・補助の場合も支援できる範囲が制限されるだけで考え方は後見と同じです。

成年後見人制度は本人の財産等を守る制度なので、後見人であっても本人が不利益を受けるようなことはできません

成年後見人制度が必要な場合

本人が入院して入院治療費が必要なときに、本人の定期預金を解約する場合や、悪徳商法で購入したものを解約する場合が考えられます。

私も親のためにお金が必要になったときに銀行に問い合わせたり、証券会社に問い合わせましたが、親族であっても財産を教えてもらえませんでした。

そのときに成年後見人であれば教えると言われこの制度を知りました

問い合わせに答えてもらえない時は、銀行や証券会社のセキュリティが厳しく取引することに対しては安心しましたが、融通がきかないので困りました。

成年後見人の仕事

成年後見人には次のような仕事があります。

  • 本人に必要な支払いをおこなう。
  • 支払内容が分かるように家計簿や出納帳を作成する。
  • 収入や預貯金も定期的な収入と特別な収入に分けて管理する。収支状況を正確に把握するために本人のもとに訪問し、本人の状況を定期的に見守る。
  • 本人が入院等する場合、病院等と契約をする。

成年後見人の資格

後見人は希望は出せますが、選任は家庭裁判所が行います。

親族の後見人を希望しても、本人の財産が多額であったり内容が複雑な場合は認められないことがあります。

また、次のような人は後見人になれません。

  • 未成年者
  • 成年後見人等を解任された人
  • 破産者で復権していない人
  • 本人に対して訴訟をしたことのある人、その配偶者または親子
  • 行方不明である人

成年後見の終わるとき


法定後見が終わるのは、次の2つです。

  • 本人が死亡したとき
  • 本人の判断能力が回復して、後見開始審判が取り消されたとき

本人が施設に入所しても上記に該当しない限り後見人としての仕事は続きます

成年後見人の費用

成年後見人を利用する概算費用を出してみました。

No 内容 概算費用
1
  • 申立書
  • 登記のための印紙代
  • 書類郵送の切手代
  • 戸籍や住民票の証明代
  • 医師の診断書作成代
15,000円~20,000円
2
  • 申立書を司法書士に依頼した場合
司法書士によって異なる
3
  • 家庭裁判所の鑑定費用
50,000円~100,000円
4
  • 後見人の費用(家庭裁判所が報酬金額を定める)親族後見員の場合は無報酬になることもある
20,000円/月~60,000円

※報酬につては家庭裁判所に確認してください。

スポンサードリンク

成年後見人制度のデメリット

ここまで書いたように成年後見人制度は本人を保護するための制度です。

成年後見人が親族であったとしても『法定代理人』という立場になり、本人の利益のためにしか財産を使用できなくなります

リスクを伴うお金は使用できない

本人のためであったとしても資産運用等リスクを伴うことにお金を使用することはできません

本人が認知症でなかったら行うと思われる生前贈与も財産を目減りさせる行為となるので、できません。
また、同じ理由で孫の教育費を本人の財産から出すこともできなくなります。

毎年家庭裁判所への報告が必要

そして成年後見人は、年に1度家庭裁判所に収支報告等を提出しなければいけません。
お金の使いみちを明確にするためレシート等も残して整理しなくてはいけません。

その管理や報告を行うのが大きな負担になります。

また、親族以外の第3者が成年後見人になった場合は、通帳等を成年後見人に渡すため親族であろうとも預貯金の額や資産を教えてもらえない場合があります。

成年後見人は家庭裁判所には報告する義務がありますが、親族に報告しなくても良いからです。

成年後見人の報酬が発生

成年後見人への報酬が、本人が亡くなるまで毎月必要になります。

報酬は月に2万円、年間24万円が基本のようですが管理する資産によって金額が代わります。
親族が成年後見人になるときは無報酬になることもあります。




成年後見人に親族がなると大変!

親族が成年後見人になると、本人の財産を思い通りに使っても良いと誤解する人がいます。例え親族であろうとも本人の資産を私用すると業務上横領罪になります。

このため成年後見人制度を利用して家族を資金面で援助することはできなくなります

成年後見人は、仕事内容から本人の資産を着服できないことを理解していますが、成年後見人制度をよく知らない親族がいると、本人の資産を着服しているように見られ親族間のトラブルになることが考えられます

親族間のトラブルを発生させないためにも第3者が成年後見人になる方が良い場合があります。

また、成年後見人による横領の不正は減少傾向にはあるものの、その殆どが親族によるもののようです。




成年後見人制度のデメリットは?親族がなると大変!まとめ

成年後見人制度は本人を保護する上では、大変良い制度だと思いますが、親族にとってそれが良いかどうかはよく検討すべきです。気に入らないとか大変だからと言っても簡単には成年後見人を交代できないのです。

成年後見人は本人が亡くなるまで続きます。銀行や証券会社の契約解除のために成年後見人制度の利用を考えるなら、もう一度よく考えて大変かもしれませんが他の方法を検討したほうが良いと思います。

考えた上で他に方法がない場合は成年後見人制度を利用するというふうに、最後の手段と考えたほうが後悔しないと思います。

最後までお読みいただいてありがとうございました。